2月17日、
下北沢金子ボクシングジムで卒業生の記念品授与式が行われた。
3名のボクシング部部員は、クラブを巣立っていく。
枡澤、石黒、井上、
卒業、本当におめでとう。
枡澤、卒業おめでとう。
枡澤は北海道からやってきた。
最初の試合は予備計量の時、リミットオーバーだった。
慌てて藤田のカッパを着せて、試合周辺をランニングさせた。
体重は30分ほどで落ち計量はパス。
冷や汗ものだったが、試合は落ち着いて勝利した。
負けず嫌いで
数年前のスパーリングの偶然のダウンを根に思っていた。
ボクシングが大好きな男だった。
思い出は沢山ある。
全てが、枡澤の血や体になっている。
社会に出ても、枡澤は立派にやっていける。
どんな場面でも、道を切り開いていける。
藤田は、そう信じている。
お前は全日本選手権六位を、自身の力で勝ち取った男なんだからな。
必ず出来る。
石黒は岐阜からやって来た。
試合経験は無しだったが、毎日コツコツと練習を積み上げていった。
運動神経が良く、教えればすぐ吸収する身体能力があった。
デビュー戦は勝利を収めたが、負けもあった。
しかし、あるときの敗戦は石黒を相当落ち込ませた。
誰も声をかけられないくらいのナーバスさであった。
それから一年。
その時の悔しさが石黒を最大限に成長させた。
連戦連勝で関東大学トーナメント戦での優勝にまで駆け上った。
《努力は全てを変えられる》
それを実践した男であった。
世の中には困難は沢山ある。
その一つ一つを、石黒は乗り越えていくだけの能力がある。
失敗の数だけ成功はある。
社会での成功も、ボクシングの成功の秘訣と変わりはしない。
石黒は必ず出来る。
井上は大橋ジムの先生の紹介でやってきた。
とにかく真面目な人間と言うことで、宜しく頼みますということだった。
本当に真面目な男であった。
某ジムでの練習会の時、
井上の諦めない心、最後の最後まで打ち抜く根性に
相手の陣営から大きな拍手が起こったほどであった。
それはスポーツマンとして最高の賛辞に値する賞賛の拍手であった。
井上は誠実な男だ。
これは人間の根幹の問題で、なかなか会得出来ない事だ。
井上は備わっているので
きっと会社の皆さんからも可愛がられるだろう。
周囲の人と共に、頑張っていくように。
必ず出来る。
人はひとりでは生きていけない。
お前達は、沢山のボクシング関係者に見守られて来た。
社会に出たら、
少しずつ人を見守る側の人になって欲しい。
最初は自分のことでいっぱいいっぱいかもしれないが、
人に力を与えることは、
自分自身の成長に繋がる。
成長の無い人生なんて
つまらないと思わないか?
仕事を充実させて
気の合う仲間達と
馬鹿言って酒を飲んでいけるような人生が
人は一番幸せだ。。。
社会に出たら、
人と協調し、
人を助け、
人と共に進んでいくように。
一生に仲間になる。